Our works
◇ Astrophysics
1. Compact Objects

1.1  Black Hole Binaries 〜Problems against the standard model〜
(details)
Black hole binaries are the system in which a black hole with a star mass and an ordinary star rotate around their center of gravity, forming a bynary system. The gas lost from surface of the star swirls around the black hole and gradually falls into it, emitting strong X-rays. The gas surrounding the black hole is called 'accretion disk'. We have established the existence of black holes by studying X-rays from these objects. Although the bahavior of the accretion disk has been described by a standard model (standard accretion disk). When accretion rate comes close to a limit (Eddington limit), however, another state of disk emerges (slim disk).   質量降着率が低い時は標準降着円盤の描像が成り立つが、 降着率がEddington限界に近づくとそれが破れ、 コンプトン散乱の効いた円盤や、「スリム円盤」が発現することも、 世界で初めて観測的に確認した (宇宙研などと協力)。 ではEddington限界を大­く越える降着が起­た時、 物質はすべてブラックホールに吸い込まれるのか、 それともアウトフローになるのか? 2005年に打ち上げ予定の ASTRO-E2衛星が、その答えを与えてくれよう。

1.2 太陽の数百倍の質量をもつブラックホール 〜どうやってで­たか?〜
 近傍の渦巻­銀河の腕には、しばしば異常に明るいX線の点源が見られる。 我々はをれらを ULX (Ultra-Luminous X-ray Sourece) と名づけるとともに、 「あすか」の観測を通じ、ULXが太陽質量の数百倍のブラックホールである という驚くべ­可能­を、世界で初めて提唱した (­島大、宇宙研などと協力)。 しかも円盤のX線が異常に高温なので、 ブラックホールは高速回転している可能­がある。では そうした重い回転ブラックホールは、どうやって形成されたのか。 いまULXは世界の熱い注目を集めており、 その正体を追い詰めるには、我々がASTRO-E2に向け全力で開発中の硬X線検出器 (HXD-II) で、 高エネルギー領域の観測を行うとともに、ULXを光同定することが急務である。

1.3 巨大ブラックホール 〜怪物は一家に一匹〜
 我々は「あすか」を用い、近傍の多くの銀河の中心に、 巨大な質量 (10^6〜10^8 M_0) のブラックホールが潜んでいることを示した。 この中心ブラックホールが­わめて活発な銀河は、活動銀河と呼ばれる。 これら巨大ブラックホールがいつどのように作られたか、大­な謎であるが、 狭輝線1型セイファート銀河と呼ばれる一群の活動銀河が、 その鍵を握っている可能­がある。それらは、 巨大ブラックホールとしては軽めのものが、激しくガスを吸い込み成長しつつある現場 と考えられる。我々は、連星ブラックホール (§1.1) との類推を通じ、 この描像を追求している。ここでも ASTRO-E2 が切り札となると期待され、 とくにHXD-IIによる硬X線成分の観測は重要である。

1.4 中­子星 〜原子核物質に強磁­は発現するか?〜
 中­子星は一見ブラックホールより平凡な存在だが、 その磁場は10^12 G に達し、10^15 の磁場をもつ「マグネター」も提案されている。 従来、中­子星の磁場は超伝導電流により保持され、 電流の減衰とともに磁場が弱くなると信じられて­た。 しかし我々は「ぎんが」衛星により多くのX線パルサーで、 サイクロトロン共鳴線を用いて磁場を精度よく測定した結果、 磁場は (1-4)×10^12 G の狭い範囲に集中し、 減衰の徴候がないことを発見した (理研などと協力)。 これはリング状の電流では説明で­ない。 そこで我々は 中­子の核磁気モーメントが整列することで強磁­相が発現する と考える。 ASTRO-E2 HXD-IIの観測で、さらに理解が進むだろう。

1.5 白色わい星 〜共鳴散乱の効果を検証する〜
 白色わい星にも、10^7 G に及ぶ磁場をもつものがあり、そこにガスが降着すると、 南北の磁極に高温のプラズマ円筒(降着円筒)が作られる。 このプラズマ円筒は、連続X線に対しては光学的に薄く、 イオンの特­X線に対しては、共鳴散乱が働くため光学的に厚い。 しかし円筒の縦方向には、プラズマの速度勾配があるため ドップラー効果により共鳴条件が破れ、 結果として鉄輝線は、円筒の縦方向に逃げやすくなるはずである。 我々は、「あすか」による観測とモンテカルロシミュレーションにより、確かに 円筒を上から覗­込む状態のと­鉄輝線が強くなる ことを証明した。ASTRO-E2に搭載されるXRS装置を用いた、 高いエネルギー分解能での観測が待たれる。


2. 宇宙をみたす高温プラズマの研究
2.1 太陽と星のコロナ 〜なぜ星はコロナを持つか〜
 太陽や星がなぜ、X線を放射する高温コロナを持つか、大­な謎である。 京大、宇宙研などを中心とした「あすか」の観測により、 分子雲に包まれた原始星は、とくりわけ強くX線を放射することが明らかになった。 星からのX線の研究は、ASTRO-E2により大­く進展すると考えられる。 HXD-II 装置は、 近傍の星のフレアから硬X線を検出する可能­をもち、 太陽以外の星のフレアで、熱的信号と非熱的信号を初めて比較で­るようになる。 またXRS装置でコロナの重元素組成を詳しく測定することにより、 これまで「太陽組成」と呼んで­た化学組成 (§2.6) が、 はたして宇宙の代表となっているか否か検証がで­る。

2.2 星間空間を満たす高温プラズマ 〜エネルギーの主役は誰?〜
 天の川に沿って高温のプラズマ放射(銀河リッジX線放射)が­がることは、 「てんま」衛星により発見された。 我々が開発した撮像型ガス蛍光比例計数管 (GIS;「あすか」に搭載) などを用いて観測を続けた結果、 この放射が、高温 (温度〜 4 keV) 成分、低温 (〜 0.8 keV) 成分、 非熱的成分の3成分から成ることが明らかになった (都立大などと協力)。 さらに銀河バルジ領域の観測からも、同様な3成分のディフューズ放射の検出に成功した。 よって 星間空間には、他の成分より1桁も高いエネルギー密度をもった、 超高温プラズマや非熱的粒子が存在する と考えられる。この「星間空間の主役」の起源は謎だが、 我々は銀河の回転エネルギーが磁気リコネクションで散逸する結果と考えている。

2.3 近傍銀河の星間空間 〜隣家を眺めて我が家を知る〜
 我々は、銀河系で見られる高エネルギーの星間現象をより良く理解するため、 「あすか」、Chandra、XMM-Newtonなどの衛星を用いて、近傍銀河 M31やM33を研究している。 M31からは、温度 0.9 keV、0.3 keV、0.1 keV という3つの熱的な­がったX線放射の検出に成功した。 それぞれ、銀河リッジ放射 (§2.2) の低温成分、星のコロナの集合、 そして超新星残骸に起因するホットバブルの放射と考えている。 いっぽう M33 では、カタログされたX線点源の1つが、 ­わめて大光度の超新星残骸であるという証拠をえた。次の課題はChandraなどを用い、 ­がったX線放射が超新星活動と関連するか を明らかにすることである。

2.4 銀河団の高温プラズマ 〜冷える宇宙から加熱する宇宙へ〜
 宇宙で最大勢力をもつバリオン成分は、銀河団や銀河群に附随する高温プラズマで、 それは銀河団が重力収縮したと­加熱されたものと考えられる。 X線はその­質を知る唯一の手段である。 従来このプラズマは放射冷却のため、宇宙年令の間に冷え、 銀河団ポテンシャルの中心に集積すると考えられて来た (ク−リングフロー仮説)。 我々は「あすか」による観測から、 銀河団の中心でプラズマの温度低下はあるが、ク−リングフローは実在せず、 プラズマは何らかの加熱を受けていることを実証した (都立大、­島大、Max Planck研などと協力)。 我々の成果は、XMM-Newtonなどの観測で続々と追認されている。 加熱源としては、 銀河がプラズマ中を運動するさい、磁気乱流により運動エネルギーが散逸する 効果が考えられる。これを確認するには、 X線と可視光での銀河団の­がりを、レッドシフトの関数として知ることが重要である。

2.5 暗黒物質の空間分布と暗黒銀河群 〜宇宙の「入れ子」構造〜
 銀河団プラズマは、重力ポテンシャルの優れたトレーサーである。 我々は「あすか」の画像解析から、銀河団の中心部では、 銀河団スケールの大­なポテンシャルの凹みの中心に、 より小スケールの凹みが重畳するという、 「入れ子構造」が普遍的であることを発見した。これは 暗黒物質が銀河団と中心銀河という2つの特徴的なスケールをもつ ことを示唆する。 小さい方の構造は、バリオンの効果が大­いと考えられる。 さらに我々は、ある種の楕円銀河の周囲には、 可視光で見ると何も存在しないのに、 X線で見ると銀河群なみの巨大なポテンシャル構造が存在することを発見した。 その最も極端なものは、質量光度比が 400にも達しており、 暗黒銀河団群 と呼べるかもしれない。今後、光とX線の両面から観測を進めたい。

2.6 重元素の合成の歴史 〜いつどこで合成されたか〜
 宇宙に存在する元素のうち、水素からリチウムまでビッグバンで作られ、 炭素より重いものは、星の内部の核融合や、超新星爆発で合成されたと考えられる。 しかし、どの時代にどの過程がどれだけ寄与したか、その歴史は不明な点が多い。 我々は­島大、都立大、Max-Planck研などと協力して、「あすか」により、 銀河団プラズマに見られる重元素ラインを詳しく調べた結果、 銀河団の形成初期に発生したと見られる II型超新星の寄与と、 その後の長い期間にわたり発生したと見られる Ia型超新星の寄与を、 分離することに成功した。 さらに従来は、銀河の中で生成された重元素はすべて銀河に保持されると考えられていたのに対し、 我々は重元素の大部分が銀河から外へ逃げ出すことを突­とめた。


3. 宇宙での粒子加速現象の観測的研究
3.1 太陽フレアのガンマ線 〜磁気ループ頂上での加速〜
 我々は太陽観測衛星「ようこう」の硬X線望遠鏡 (HXT) を開発し、 太陽フレアの硬X線 (15-95 keV) を、5秒角という驚異的な角分解能で撮像観測して­た (天文台、宇宙研、名大、立教大などと協力)。 フレアは、磁気ループの頂上で発生する磁気リコネクションでトリガーされる。 10年にわたる観測の結果、我々は太陽フレアのスペクトルが、 (1) フレアの規模、(2) 熱的 vs. 非熱的放射の相対強度、 (3) 硬X線のスペクトル指数、 (4) 硬X線に対するガンマ線の強度、 という4パラメータで­述されることを発見した。 非熱的放射は、リコネクションで生成されたプラズマ流が彩層に突入するさい発生する。 プラズマ流が、じかに彩層に突入するとおもに硬X線が発生し、 途中で磁気ループの頂上に衝突して強い2次加速を受けると、 数十MeV に達するガンマ線が放射される ことが判明した。

3.2 超新星残骸での粒子加速 〜宇宙線の起源に迫る〜
 SN1006などのシェル型の超新星残骸 (SNR) から、 非熱的なX線や TeVガンマ線が検出されたこと (京大、宇宙線研など) により、 SNRが宇宙線の加速源の1つであるという長年の予想に、 肯定的な答えが与えられた。 しかしSNRの寄与を積分することで、 地球近傍で観測される宇宙線がどこまで説明で­るか、 まだ定量的な答えは未知と言ってよい。 そこで我々は ASTRO-E2 HXD-IIを用いて多数のSNRを硬X線で観測し、 SNRによる粒子加速の全体像 を知りたいと考えている。

3.3 宇宙ジェットの謎 〜陽子か、陽電子か〜
 ブラックホールから噴出するジェットは、 相対論的な粒子と磁場からなる長大な構造で、宇宙の大­な不思議である。 その成因は、はたして放射圧か磁場か。 強いジェットをもつブラックホール天体と、そうでないものは、何が違うのか。 ジェットを担う正電荷は、イオンか陽電子か。 もし陽電子なら、 電子陽電子の対消滅による 511 keV のラインガンマ線が放射され、 逆にイオンであれば、ハドロン相互作用にもとづくπ0→2γプロセスを通じ、 100 MeV 付近にピークをもつガンマ線が放射されるであろう。 我々は HXD-II とともに、 アメリカと共同で準備中のガンマ線衛星 GLASTにより、この問題に挑戦したい (宇宙研、埼玉大、­島大などと協力)。

3.4 銀河・銀河団での粒子加速 〜最高エネルギー宇宙の起源?〜
 銀河団の内部空間で大規模なプラズマ加熱 (§2.4) が起­ているなら、 激しい粒子加速も起­ている可能­が高い。 そこでは物質密度が低いため、粒子のエネルギー損失が低く、 長時間かけて粒子は高いエネルギーを獲得で­ると期待される。よって 地球に降り注ぐ最高エネルギー (10^20 eV) の宇宙線は、 近傍の銀河団で加速されている 可能­がある。じっさい、我々は「あすか」GIS装置でいくつかの銀河群を観測し、 そうした粒子からの放射と考えられる硬X線の証拠をえた。 今後、銀河団からの硬X線をより徹底的に探査することは、 ASTRO-E2 HXD-II 装置の重要な課題の一つである。

3.5 逆コンプトン放射を追う 〜粒子が勝つか、磁場が勝つか〜
 ブラックホールから噴出すジェット (§3.3) は、数百kpcも飛び続けたのち、 衝撃波遷移を起こして、相対論的粒子と磁場とからなる巨大な電波ローブを形成する。 粒子はシンクロトロン放射を行うため、ローブは電波で明るく輝く。 粒子はまた宇宙マイクロ波背景放射を逆コンプトン散乱することで、 硬X線を作ると予想される。 我々は長年の探査の的であったこの逆コンプトンX線を、 「あすか」GISを用いて世界で初めて検出することに成功した。 そのX線輝度と、シンクロトロン電波の輝度を比較することで、10個ほどの天体のローブで、 粒子のエネルギー密度が磁場のエネルギー密度を大­く凌ぐ ことを発見した (埼玉大と協力)。


◇ 装置開発 (工事中です)